「SMOKE 」第二話

  • 2018.12.08 Saturday
  • 11:23

JUGEMテーマ:児童文学

 

 

二人は昼間の間は両親が驚くといけないので会わないで、

夜になって彼らが寝静まるのを待ってから、そっと暖炉の前で落ち合うことにしていました。

 

「スモーク、ぼくだよ」

 

 ミシャの小さな声に、スモークが暖炉から顔を出します。

 

「もう、まちくたびれたよ、ミシャ」

 

 それからスモークは煙の体をそっと丸めて床に転がり落ち、ミシャは両手で受け止めます。

それから二人は声を立てないように気をつけて、積み木遊びや、

マッチ棒倒し、それから大好きな取っ組み合いを始めます。

 

「いくよ スモーク」

「いいよ 思いっきりぶつかっといで」

 

スモークの体はフワフワ。ミシャは思いっきりぶつかっていってもポンとはじき返されてしまいます。

それに体の上に乗ると、まるで空を飛んでいるようです。

 両親は昼間の力仕事で疲れていて夜中に目が覚めることはなく、

二人はじっくり数時間遊ぶと、しぶしぶお別れをして、ミシャはベットにスモークは煙突に帰っていきました。

 

「ミシャは今、学校でかけっこをしているな」「はやく帰ってこないかな」

 

スモークは昼間煙突にいる時も、ミシャと遊ぶ事ばかり考えて、

寂しいと思うことが少なくなりました。ミシャの方も学校で今日の夜にスモークとどんな話をして、

何の遊びをするのか考えるのが楽しみになりました。

 

 冬が過ぎて、春が来て、そして煙突が使われなくなる夏が来ても、

二人は毎晩、落ち合って遊んだり話をしたりしました。

でも、その頃になると、暖炉の外から聞こえる家族の話が少しずつ少なくなってきたのに気づきました。

ミシャもだんだん元気がなくなってきているようです。

ある夜、スモークはミシャに何か心配事があるのか尋ねてみました。

 ミシャはため息交じりに答えました。

 

「最近、お父さんたちが変なんだ。あまり笑わなくなったし、ご飯も少なくなったんだ」

 

ミシャのうちでは、ご飯もパンと薄いスープだけ、

ミシャも最近、体が少し痩せてきたみたいです。

それに、前は貧しくとも楽しそうだったのに、最近何かを心配して暮らしているように感じます。

 

 そう言えばスモークは少し前に渡り鳥が話していた事を思いだしました。

 

『ここの地方は、雨が今年に入ってから一滴も降っていないらしいですよ。

川も枯れかけていて、作物も育たないから住んでた鳥たちも引越しを始めてます。

でも枯れかけた湖で魚が捕りやすくなっているのはありがたいですな。ほんと』

 

 部屋の床の隅の小麦もだいぶ減ってきているのに、新しいのがまだ入ってきていません。

お父さんたちは雨が降らなかったら秋には食べるものがなくなってしまうのが

心配で毎日暗い顔をしていたのです。

 

スモークはミシャと別れて煙突の中に帰ると、煙突から見える夜空を眺めて考えました。

四角い空には星がキラキラと輝いて見えます。

それを見ていると北極で家族みんなで見ていたきれいなオーロラや流れ星を思い出しました。

 

「おとうさんやおかあさんはどうしてるんだろう」

スモークは急にさびしくなってきました。

 

「でも、ミシャとミシャの家族は今ほんとうに大変なんだ」

 

スモークはミシャのために何とかしたいと思いましたが、

食べ物の事を考えたことなど今まで考えたこともありません。

でもスモークは一生懸命考え始めました。

 

「えーと、食べ物がないっていうのは雨がないからで、あの、雨は水でできていて・・・」

一晩中考えて、煙突の空が明るみかけた頃、やっと良い考えを思いつきました。

「北極にいるお父さんに来てもらえばいいんだ!」

 

スモークのお父さんは雪雲を自由に動かせるのできっと何とかしてくれるはずです。

でも、北極に一人で帰るのはどうしたらいいのか分かりません。

だからといってサンタさんがもう一度通るのを待っていたら手遅れになります。

色々考えてスモークはすぐに出発することにしました。            

 

ミシャは学校に行っていて夕方まで帰ってこないので、スモークは煙突の炭を使って手紙を書きました。

 

 

 

 ミシャへ

 

 しばらく、でかけてきます。

 ミシャにあえてよかったです。

 ずっとともだち、わすれません。

 ありがとう

   スモーク

 

 

 

 スモークは誰もいない部屋に降りたち、二人だけの秘密の場所に手紙を隠しました。

そして一度だけ部屋の中を振り返り「ありがとう」と言うと、思い切ってドアを開け外にでました。

 

 

 

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